酔いどれ介護者の減塩食日記

減塩食レシピ作りで料理の修行中。介護の日常と非日常・・・タフでなければ介護はできない、優しくなければ介護をする資格がない。

味噌汁解禁、父亡き後の食事風景

病前、食卓に汁物がないと、父は決まって言った。「スープはないのか」。俺が食事を用意するようになってからは、ほとんど味噌汁は出さなかった。リハビリ病棟退院直後にはまだ、誤嚥のリスクがあった。ネフローゼ症候群になってからは、厳しい塩分制限を課せられた。

和食に欠かせない味噌汁だが、塩分はだいたい一杯1.5グラム。1日の食塩量は6グラム未満に抑えよと言われた。腎臓病のレシピ本にも、たいてい味噌汁と漬け物はご法度と書いてある。だから、悪いが親父、「スープはない」

 父がリハビリ病棟を退院するにあたって、病院の栄養士から食事指導を受けた。そのとき学んだことを、日記にはこんな風に残していた。

食事は減塩調味料を使うなどすれば、私たちが普段食べるものでいい。
ただし、味噌汁、スープ類は多くて一日一食に。
カレーライス、パンだってOK。
誤嚥の危険性を避けるために、刻み食にする、ご飯は柔らか目にする。
寿司を食べたいなら、ちらし寿司、五目寿司などを。
魚が食べたいなら、鮭のフレークなどを。
チャーハンなら、あんかけチャーハンにするとか。
麺類も刻んだものなら食べられる。
満腹感が得られないのなら、ヨーグルトやゼリーのようなもので補う。
1か月試して、体重、血糖値、血圧などをチェックして、何より痩せさせないように工夫せよ。

まったく覚えていなかったが、それまでほとんど買ったことのない鮭フレークをよく使うようになったのは、このときの指導のせいだったのかもしれない。冷蔵庫にはまだ鮭フレークが残っていた。父亡き後の、ある日の献立を。

昼:鮭フレークのチャーハン

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ふだんは味つけに鶏がらスープの素(減塩タイプ)などを使うのだが、鮭フレークと醤油だけでも十分に美味しいだろうと下のレシピを試してみた。正解。今回はレシピ通りに作ってみたが、俺としてはやっぱりチャーハンのパラパラ度よりも、具としての卵の存在感にこだわりたい。

cookpad.com

少食の母と俺の分なので、ご飯は350グラムで鮭フレークは30グラム。調味料も加減する。ふつうの醤油で作れば、塩分は2.5グラム弱(1人分)。うちにある調味料はまだほとんどが減塩タイプなので、塩分はもっと低くなる。

父が急に死んだので、冷凍庫には骨なし魚もたくさん残っている。魚の骨の存在を忘れてしまったかのような父が、左手のスプーンでも食べられるようにと買っておいたものだ。

夜:とろほっけの漬け焼き、パリパリの春巻き(冷凍)、ごぼうサラダ(セブンイレブン)、画像にはないけど、おかめ納豆、そして味噌汁!

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4年に及んだ在宅介護の間、味噌汁は父がショートステイ介護施設の短期入所)で留守にするときぐらいにしか作らなかった。それでも、味噌を溶かし入れたら、味噌の香りを飛ばさないために煮立てないといったコツは学んだ。

魚は生の新鮮なものに限る。正直、人の手の加わった冷凍の魚は美味しくないが、このとろほっけはなかなかいけた。ジップロックに凍ったままの魚を2尾入れて、醤油、酒、みりんの3同割り(各大さじ1.5)を加えて、冷蔵庫で5時間ぐらい漬け込む。

メーカーのレシピによれば、約220度に余熱したオーブンで6~8分焼成すればいい。でも、うちの電子レンジはひねくれているので250度で10分ぐらいかかった(予熱に20~30分かかるのは異常?)。やっとレンジのクセがつかめてきた。このとろほっけはうまく焼けたと思う。美味しかった。魚好きの親父に食べさせたかった。

魚の漬け焼きの塩分の測り方が分からないので約1グラム、減塩タイプの味噌を使った味噌汁も1グラムとして計算すると、この夕食の塩分は全体で約3.5グラム。

昼夕食を合わせて6グラム弱ならまずまずの数字だと思うが、母の心筋梗塞狭心症の再発を防ぐのに必要なのは血圧の管理。そのために減塩は欠かせない。これからも塩分に注意した食生活を送っていこうと思っている。

この4年間、父は「スープはないのか」といった不満は一度も漏らさなかった。大好きな味噌汁を飲みたいと思わなかったのか。味噌汁なんて簡単なものなのに、さらに面倒をかけるのを厭うたのか。それとも、スープ自体の存在もおぼろげなものになっていたのか。今となっては確かめるすべもない。

意思の疎通がうまく図れなかった失語症の介護だった。塩分を抑えても、後口の苦さは残った。多分、それは仕方のないことなのだろう。

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