酔いどれ介護者の減塩食日記

減塩食レシピ作りで料理の修行中。介護の日常と非日常・・・タフでなければ介護はできない、優しくなければ介護をする資格がない。

さんまの塩焼き~さんまは、さんまのまんまであってほしい~

毎年、この季節が近づくと、母が言う。「さんまの塩焼きが食べたい」。父の好物でもあった。でも、晩年の父は脳梗塞の後遺症で左手のスプーンで食べなければならなかった。圧力鍋を使って調理したこともある。骨の多い魚は食卓に出すのが難しかった。

栄養のバランスを考えて、魚は冷凍の骨なし魚でまかなった。それを煮るなり焼くなりして主菜にする。父の分は食べやすいように身をほぐす。元の魚の形はとどめていない。味は変わらない。でも、見るからにおいしそうじゃない。まるで、一昔前のペットの食事のようだった。

 父がそれを気にする様子はなかった。そもそも、何の魚なのか分かって食べていたのか。失語症だったので、うまく確認するすべはなかった。ただ、およそ器用とは言えない手つきで黙々と、あるいはがつがつとその身を口に運んでいた。

皿からこぼれ落ちたものは、平然と手で拾って食べた。入れ歯を口から出しては、その間に挟まった食べかすを取ってまた口に入れるのも常だった。汚らしいと思うだろうか。それは、ごくありふれた介護生活の情景の一つだった。

スーパーには内蔵や頭を取り除いたさんましか売っていなかった。北海道産、2尾で400円ぐらい。不漁の話は聞いている。さんまを買うこと自体が久しぶりなので、高いのか安いのか分からない。どうせなら丸ごと一匹で買いたかった。さんまの腹わたはうまい。それを教えてくれたのは父だった。

コンロの下にグリルはある。でも、もう何年も使っていない。今から掃除をしたら日が暮れる。フライパンで焼こうと思った。ところが、フライパン用のアルミホイルが切れていた。魚をフライパンでじかに焼いたことはない。さて、どうするか。ネットを見ていたら、こんなページに行き当たった。

www.buzzfeed.com

全国5千万のポップコーン好きには必須のアイテムあり。ゆで卵ぐらいお湯を沸かして作ればいいじゃねーかと思うものあり。至れり尽くせりだ。俺も「レンジでおだし」に似たようなのは持っていたり。でも、全然使っていないな・・・と、ここで、はたと思い出した。そう言えば、うちにはおそらく電子レンジ用の最強・簡単な調理器具があったではないか!

その名も「ニュー・クックアートプラス」。どんなからくりなのかは知らないが、電子レンジのマイクロ波を遠赤外線に変えて、これ一つで「炒める」「煮る」「蒸す」など6役をこなすという調理器具。焼肉や煮魚はもちろんのこと、ご飯だって炊けちゃう。肉じゃがや焼きそばだって、食材と調味料を入れてレンジでチンすれば、簡単に作れちゃうという代物だ。テレビ通販中毒の母が病に倒れる前に買って、以来ほとんどホコリを被っていた。

付属の小部のレシピ本には、きれいに焦げ目のついた焼き鮭や焼き鯖も載っている。だったら、さんまの塩焼きだってできるだろう。多分、さんまに塩を振ってクックアートプラスに入れて加熱し、途中で裏返すだけでいい。お茶の子さいさいだ・・・失敗した。

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さんまの塩焼き(ニュー・クックアートプラス作)

画像はややまともな面を表にしたもの。裏はぼろぼろ。加熱時間が長すぎたのか、隠し包丁を入れればよかったのか。皮が焦げ付いて、身もろとも剥がれてしまった。見た目が悪いと、やはりおいしそうには見えない。小冊子に戻ると、油分が少ない食材は焦げ付くことがある、予め少量の油をひいてとあった。

ぶざまなさんまになったが、さんまの味はした。薬味には大根おろしとしそ、みょうがとポン酢。みょうががいい仕事。でも、グリルで焼いた魚とは明らかに違うものだった。

■ さんまの塩焼きのポイント ■

・魚の重さの1~2パーセントの塩を両面に振って、よくなじませる。
・5~10分置いて、水気をふきとる。

出典: お料理一年生(ベターホーム出版局)

せっかくの便利な調理器具だ。もったいないから、いろいろ試してみよう。母は積年の念願がかなったはずなのに、ぶつくさ言っていた。いわく、「年を取ると、魚の骨は面倒だ」

by カエレバ
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