酔いどれ介護者の減塩食日記

料理、家庭菜園(近日開始)、クロスバイク、介護・・・与太話を交えて。

続・消えたさんまの尻尾~世にも恐ろしいグリル童話~

前号のあらすじ

今のいまのあるところに、けんろーさんという風邪をひいたおじさんがいて、年老いたお母さんに大好きなさんまを食べてもらおうとグリルで焼いたら、尻尾がなくなるほど焦げちゃったので、けんろーさんは鼻水を流しました。

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けんろーさんのおうちはビンボーです。だから、どこからどー見ても「インスタ映え」しない焦げちゃったさんまも「排除する」ことはできません。けんろーさんはそのまま食卓に出しました。おいしいかい? 恐るおそるお母さんに聞きました。

ちょっと痩せていたさんまです。季節も過ぎて、脂ものっていません。明らかに、おいしくありませんでした。それなのに、「とても、おいしいよ」。お母さんは健気な息子の心中を「忖度」しました。そんなお母さんの「空前絶後の」優しさに、けんろーさんはまた心の中で鼻水を流しました。その量は「Jアラート」が鳴ってもおかしくないほどでした。

思えば、お父さんは「さんまファースト」でした。魚といえば第一にさんま。さんまを食卓に出せば、お皿に残るのは、漫画に出てくるみたいな魚の頭と骨だけ。見ていて惚れぼれするくらいきれいに食べました。

おまけに、残ったさんまの骨は「アウフヘーベン」させます。お母さんにその骨をもう一度焼かせて、それも平らげちゃうのです。子供心にびっくりしましたが、決して「フェイクニュース」ではありません。うちの父さんは「ひふみん」よかスゴイ!と思ったものです。

だから、もう一度、グリルを使いこなしておいしい魚を焼いて、せめてお母さんには食べさせたい。「うつ抜け」したけんろーさんは翌日、グリルでパンを焼いてみました。グリルをきちんと使いこなせるようになりたいからです。トリセツの指示通りにやったさんまが失敗したので、今度はネットで調べた方法を試しました。

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「炎上食パン」になりました。けんろーさんは頭に来ました。「ちーがーうーだーろー!」。グリルをぶん殴ってやろうと思いました。ただ、近くにはビール瓶もカラオケのリモコンもありません。けんろーさんは「うんこ漢字ドリル」をやって頭を冷やすことにしました。でも、まだ買っていないことに気が付きました。買ったのは、ジャイアントというメーカーの最新型のクロスバイクでした。

もう外は自転車で走ると寒い季節ですが、冷静になるにはそのほうが好都合です。けんろーさんはまた遠出をして川の土手でサイクリングしました。休みの日です。老若男女を問わず、たくさん人がいました。ほぼすべての人が健康のために歩き、走っていました。競歩の選手みたいに腕を大げさに振りながら歩いているお婆さんだったり、「藤井フィーバー」に勘違いして東京五輪に出て有名になろうと思ってるみたいな少年だったり。

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けんろーさんはちょっと感動しました。みんな自分のために自分一人でこつこつと頑張っている。ぼくも負けちゃいけない。けんろーさんは風邪をひいていたので、涙の代わりに鼻水を流しながら自転車のペダルを強く踏みしめました。この時の彼なら、自転車のヨーイドンでもきっと「9.98」は越えていたでしょう。

その夜、けんろーさんはグリルであじの開きを焼きました。もうトリセツにもネットにも頼りません。これまでの経験を踏まえた勘と判断で焼きました。自分の力で自分なりにやってみました。やっぱり、尻尾は焦げてしまいました。それでも、けんろーさんには、これでもいいんだという満足感がありました。

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童話には教訓が付きものです。これにそれがあるのかは分かりません。作者としても予想外の展開になってしまいました。自ら読み直して、それを探すとすれば、きっと「とても、おいしいよ」でしょう。あれ、そんな言葉はノミネートされていなかったっけ。とまれ、今年の流行語大賞の発表は12月1日です。「共謀罪」反対! けんろーさんが知っている言葉は以上です。