酔いどれ介護者の減塩食日記

月末に駆け込みで記事を更新する、夏休みの小学生みたいなブログです。

カルボナーラ~入院患者に眉毛は必要だが、カルボナーラに牛乳は必要なかった。

介護者にはゴールデンウィークも夏休みも正月もない。親父の生前には正直、死なない程度に病気になってくれないかとよく思った。一週間ぐらい入院してくれれば、こっちはゆっくり休める。介護パンツの交換も、入れ歯の手入れも、頑迷な年寄りの相手もしなくていい時間がほしかった。

もちろん、施設に預けて面倒をみてもらうショートステイ(短期入所)は利用した。でも、失語症の親父はそういう制度がある意味をついぞ理解してくれなかった。月に一度の二泊三日、三泊四日でも必ず帰宅願望を訴えた。そのたびに施設から連絡が来た。車椅子で脱走しようとして怪我をしたこともあった。とてもその間、心置きなく羽根を伸ばすということなどできなかった。

お袋の腎臓病はよくなった。熱は下がり、ばい菌も退治できた。ただ、心臓の血管が細くなっていた。今回、救急車で運ばれたのは、お袋が狭心症心筋梗塞で世話になっている病院だ。その点は心強い。一週間ほど毎日、病室の周りを歩いて具合いを見る。それで支障がなければ退院。問題があればカテーテル治療、ということになった。

そう医師から説明を受けた2日後に携帯電話が鳴った。お袋からだった。「明日、退院できそうだから、迎えに来てくれない?」「明日?先生がそう言ったの?」「看護師さんが大丈夫そうだって」「看護師の大丈夫そうって。先生から正式な話はないんでしょ?」「ないけど」

これまでの事情がある。仏の性格で知られる俺もさすがにカッとした。途中で携帯をガチャンと切った・・・と、昔の電話なら受話器を叩きつけるように下ろす怒りの表現もできたが、携帯なので指先でポチッとボタンを押したにすぎない。そのせいか、すぐにきつい言い方をしてしまったかなと、我に返った。

俺は入院したことがない。ただ寝ていればいい境遇がうらやましい気もする。でも、いくら動けない体であっても、好きな氷川きよしのDVDも見られずにベッドに縛り付けられている状態は楽しくないだろう。早く帰りたいという一心での言葉なのだ。折返し、お袋の携帯を鳴らした。今度はつとめて優しい口調で話した。

心筋梗塞は再発の危険性が高い病気。先生は慎重を期しているんだよ。もう少し我慢して。退院できるようになったら、向こうからちゃんと知らせてくれるはずから。

見舞いに行く(行かされる)と、お袋は決まって食事がまずいことにも文句を言っていた。ご飯はおかゆで、おかずの味は薄い。朝食には決まって嫌いな牛乳が出る、と。そこはホテルではなく病院なのだ。これも我慢しなくちゃいけない。

3日連続で、昼食にカルボナーラを作った。一人だと、こういうことができるのがうれしい。どんな料理だって、一週間続けて作れば、それなりものもができるようになるだろう。こういう時間を利用しない手はない。

レシピはちょっと前のTBSテレビ「噂の東京マガジン」から。本場のカルボナーラは牛乳や生クリームを使わない。黒胡椒、チーズ、卵、ベーコンのみが正しいものだと知り、かねて作ってみたいと思っていた。

1日目は味が決まらなかった。2日目はにんにくを加えたが、ソースがだまになった。3日目はだまを防ぐためにマジックブレットというミキサーを使った。だまはできなかったものの、ちょっと味が薄かった。レシピ通りだと、びっくりするくらいのチーズの量に怖気づいたのがいけなかったかもしれない。

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牛乳を使わないカルボナーラ(未完)

お袋が退院するまでに、牛乳を使わないカルボナーラを完成させたい。でも、携帯電話を切るときに、重病の入院患者はこう言った。「明日、眉墨を持ってきてくれない? 眉毛がないと、みっともないのよ」

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