酔いどれ介護者の減塩食日記

月末に駆け込みで記事を更新する、夏休みの小学生みたいなブログです。

誕生日のビーフステーキ~脳の配線はおかしいが、母の健康を祈って

母がマットレスを買った。例によって、テレビ通販だ。腰痛にいいという触れ込みに飛びついた。ところが、ちょっと薄手のものなので、ベッドの床の位置が低くなった。わずかな違いだが、それでもベッドから立ち上がるのに苦労するようになった。今度、福祉用具屋さんが来たら、高さを上げてもらわないとと言う。

お袋が寝ているのは、親父が生前に使っていた介護用ベッドだ。高さ調節は枕元にあるリモコンのボタン操作でできる。俺も親父のおむつ交換をする際に使っていた。毎日のように、お袋はその光景を見ていたはずだ。「そんなの、簡単にできるじゃないか」「どうやって?」「リモコンで」

「えっ、鼻かんで?」

鼻をかむたびにベッドが高くなっていたら、全国3千万の風邪ひきはいかな天空のベッドに寝る羽目になるか分かったものではないが、このエピソードで少なくとも分かるのは、年をとると、耳と口の間をつなぐ線が脳を介さずに通じるようになるという、恐ろしくも確たる事実だろう。

そんなお袋が85歳になった。この季節は気温の変化が激しい。おかげで、具合が悪くなることも多い。先日は、デイケアの施設から血圧が180以上になって手当したという報告を受けた。4本のステントが入った心臓病持ちの高齢の体だ。仕方のないことなのだろう。体調面に関しては、こちらにできることはほとんどない。せいぜい精のつくものを食べさせることぐらいだ。

だから、スーパーで好物のうなぎでも買おうかと思った。でも、陳列棚に並んでいたのはお袋が毛嫌いする中国産のものばかりだった。国産のは1つあったが、2000円ぐらいで、見た目も美味しそうじゃなかった。

店内を見て回って、目についたのがステーキ用の牛肉だった。わが家には洋食用のフォークはあっても、ナイフはない。親戚のおばさんのすすめもあり、たくさんあった食器類は半分ぐらい断捨離した。親父が脳梗塞で右半身が使えなくなり、その出番はもうないだろうとナイフも処分したのだった。そんな理由もあって、久しくお目にかかっていなかったビフテキを食べたくなった。

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ビーフステーキの肉の部位といえばサーロインやリブロース、ランプなどが定番だろうが、バラなんてのがあった。牛のこのバラって、カルビ? カルビステーキってこと? いずれにせよ、100円引きでもなかなかのお値段。外国産の安いのもあったが、一年に一度の日なので奮発した。

ネットでステーキの焼き方を予習した。相変わらず、プロの料理人がそれぞれ好き勝手なことを言っている。肉は常温に戻さなくてもいい。弱火で焼け。塩こしょうは後でしろ、アルミホイルを使え等々。たまにしかステーキなんか作らない素人は途方に暮れる。

結局、料理の教科書にしているレシピ本の一般的な手順に沿って焼いた。肉は冷蔵庫から出して20~30分置く。塩こしょうは焼く直前にふる。まず強火で両面を固める。それから火を弱めて、後はもう自分の見た目で判断。火を通しすぎないようにしてミディアムにしよう、と。

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ビーフステーキ

われながらうまく焼けた。一応、包丁で切って出したが、歯の悪いお袋でも齧りつけそうなほど柔らかかった。味もよかった。ただ、お袋はこの日が自分の誕生日であることを知りながらも、そのために俺が高価なビーフステーキを出したということには思い至らなかった。その理由を告げて、初めて自分でハッピーバースデー♪と歌いだした。やはり、脳内の配線はおかしくなっている。

もっとも、あまり人のことは言えない。俺は長い間、両親の誕生日をはっきり記憶していなかった。だから、ほとんど誕生日祝いをしたことがなかった。母の誕生日を知ったのもつい最近だ。在宅介護を始めて、その手続きで何度も書類を書かされて、やっと覚えたのだった。

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