酔いどれ介護者の減塩食日記

料理、家庭菜園(近日開始)、クロスバイク、介護・・・与太話を交えて。

うなぎとメガネ

親父の晩年、食べさせるのに苦労した。食卓につくと、決まって多いと文句を言った。本人の望み通りにすれば、雀の涙程度にしかならない。一日中寝ているせいで腹が空かないのだろうが、いくらなんでもそれでは栄養不足になりそうな量だった。だから、親父の好物を続けて出したり、大きめの皿を使って少なく見えるようにしたりしたものだった。

眼鏡のフレームが折れたので、修理してもらってきてほしいと、お袋から頼まれた。椅子に座ってテレビを見ているときにウトウトして、顔から落ちたらしい。以前にも玄関で転んで眼鏡を壊している。年寄りが転ぶと、反射的に手が出ない。ロボットのような緩慢な動きだ。無理はない。転倒が寝たきりにつながると言われるのも、よく分かる。

フレームの折れた眼鏡を2つ渡された。もう1つは、横になってテレビを見ているときに寝てしまって壊したものだと聞かされた。やれやれ。最近、そんなお袋が親父によく似てきた。食がとみに細くなった。こんなに食べられないと文句を言う。自分だって、生前の食べない親父の健康を心配して苦言を呈していた。それを忘れたのかい。

食べ物をやたらとこぼすようにもなった。年を取れば、手先にだって衰えは現れるのだろう。もっとも、親父の場合は右半身不随で、左手のスプーンで食べなければならなかったせいなのだが。

それでも、この暑さだ。85歳にもある程度は食べてもらわないと困る。土用の丑の日デイケアが重なった。昼食にはうなぎが出たそうだ。それでも老人施設の食事だ。とろろごはんの上に、それこそ雀の涙のようなうなぎがのっただけの代物だったと嘆いていた。

翌日、チャリンコで眼鏡屋に行った帰りにスーパーでうなぎを買った。駐輪場事件で散財したにもかかわらず奮発して、中国産ではなく2400円の鹿児島産を選んだ。日記やブログを紐解けば、やはり一年ぶりのご馳走だ。

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今回は、酒をふりかけて弱火のフライパンで蒸した。なるほど、これが正解かもしれない。ただ、肝心の味は値段ほどではなかった。うなぎ好きだった親父には、子供の頃から老舗に連れて行ってもらった。当たり前だろうが、それに比ぶべくもない。でも、お袋は美味しいと言った。いつもの倍の量のご飯を平らげた。なら、いいか。高い買い物にはならなくて済んだのかもしれない。